
Audyssey Dynamic EQ(オーディシー ダイナミックEQ)は全てのボリュームレベルに対してオリジナルの低音の特性、聴感特性、そしてサラウンド感を正確に再現します。
制作者の意図を正確に再現
映画制作者、ミュージシャン、そしてオーディオエンジニアは、家庭で聞くボリュームよりはるかに高い音量であるリファレンスレベルでモニターしながらミキシングします。その高いレベルでミキシングされた音を低いボリュームで再生すると人間の聴覚の特性により声質が変わり、低音感は消えてしまい、サラウンド感も失われてしまいます。Audyssey Dynamic EQは再生ボリュームに合わせて正しい周波数特性とサラウンドレベルを維持します。
その結果、どのボリュームにおいても、低音の特性、聴感特性、サラウンド感を本来あるべき姿に保ち、制作者の意図通りの豊かな音を楽しむことが出来ます。
開発の背景
Audyssey Dynamic EQは、ボリュームが減少することによって音の品質が悪化するという現象を解決するために、人間の聴覚とリスニングルームの音響特性を考慮して開発された前例のない技術です。
入力ソースの持つボリューム情報とリスニング環境への出力レベル情報を組み合わせ、Audyssey Dynamic EQはどのようなボリュームにおいても制作者の意図通りの音の再生を提供します。
AudysseyのChief ScientistであるTomlinson Holmanは 1977年にラウドネス補正システムが適切に動作する成分を定義した「Loudness Compensation: Use and Abuse」(ラウドネス補正:使用と乱用)を出版し、このAudyssey Dynamic EQ開発の礎を築きました。
Audyssey Dynamic EQの効果
Audyssey Dynamic EQは設定されたボリュームに対して再生される音が制作者の意図通りの正しい周波数特性とサラウンドレベルになるように補正します。結果として今までは不可能であった本来あるべき姿の低音特性、聴感特性、そしてサラウンド感を得ることが出来ます。
Audyssey Dynamic EQはラウドネス補正の必須条件である入力レベルの情報と、視聴環境の再生レベルの情報を組み合わせた今までにない画期的な技術です。
Audyssey Dynamic EQとAudyssey MultEQの相乗効果
Audyssey Dynamic EQはAudysseyのコア技術であるAudyssey MultEQとの組み合わせで動作するように設計されています。
正しい音場補正を行うには、ラウドネス補正を行う前にリスニングルームの音響特性をタイムドメインと周波数ドメインの両面から補正しなければなりません。
Audyssey MultEQはリスニングルームの音響特性とオーディオシステムが相互に作用することで生じる歪(ひずみ)を効果的に取り除きます。
Audyssey Dynamic EQはAudyssey MultEQが提供する音圧レベルの測定結果を基に正しいラウドネス補正を行います。
Audyssey Dynamic EQはAudyssey MultEQと共に動作し、どのボリュームにおいても正しいリスニング環境を提供します。

Dynamic EQとMultEQを共にOn:ボリューム(音量)が下がっても周波数特性は保たれます。
Dynamic EQをOff:ボリューム(音量)が下がると、低音特性が減少し声質が変わります。

Dynamic EQをMultEQと共にON:ボリューム(音量)が下がっても周波数特性は保たれます。
MultEQの無いラウドネスシステム:再生システムはリスニングルームの音響特性を補正しておらず、結果として誤った調整を行っています。
一般的なラウドネス補正
1930年台初めにベル研究所が行った実験で、人間は低音量時には低音域と高音域を認識しにくいということが発見されました。
そこでオーディオメーカーは製品にラウドネス補正のオプションを加えることでこの問題を解決することを試みましたが、最新の信号処理技術なしでは正しい補正を行うことは出来ませんでした。
当時のラウドネス補正では低域が強調され過ぎたすっきりしない人工的な音となる傾向があり、以下の問題がありました。
- 入力信号レベルに対する補正がない
再生する音源のミキシングレベルを知る方法がないので、補正に必要な音源と再生音のレベル差を探し出すきっかけがありませんでした。 - 出力レベルに対する補正がない
ボリュームコントールを行った後の電気的なゲイン(利得)の変化、スピーカーの感度、リスニングルームの音響特性などの多様性によって、正確な出力レベルを判別することが不可能でした。 - ダイナミックに動作しない
例えば、オーケストラは最大で音圧レベル100dB、ソフト(低め)のパートでは50dBで演奏します。
家庭での視聴においてボリュームを20dBまで下げたとすると、最大音量での演奏時とソフトな音量での演奏時では異なったラウドネス補正が必要となります。元々ソフトな音量の演奏をより小さい音量で再生すると、高い音量の演奏より大きな補正が必要になります。
このような音源を基にしたダイナミック(動的)な制御が無い初期のラウドネスシステムでは不自然な低音を加えることになりました。
Audyssey Dynamic EQの特徴と効果
何年もの研究を重ねた結果、AudysseyはDynamic EQが実現する価値のある技術であると判断致しました。
- 新たな研究でより正確なデータを作成
過去30年の間にFletcherとMunsonが最初に見つけたデータよりさらに洗練されたデータが作り出されました。より正確な標準カーブ特性を定義するために世界中の何千人もの試聴者が実験に参加しました。Audyssey Dynamic EQはこのデータをホームシアター環境で正確なマルチチャンネルのラウドネス補正を行うようにカスタマイズしました。 - 異なったラウドネスカーブが作成可能に
Audysseyはレファレンスレベルと再生レベルの差異に対して独自の技術を使ってリアルタイムにラウドネスカーブ作成する方法を開発しました。 - 入力信号レベルに対する補正が可能に
映画コンテンツは標準レベルでミキシングされています。
音楽やTV番組制作においても同様に標準レベルを採用し始めています。
今では録音されたプログラムのレベルはオリジナルのミキシングの音響レベルにさかのぼることが出来ます。 Audyssey Dynamic EQはこの情報を適切なラウドネス補正に使用します。 - 出力レベルに対する補正が可能に
AVレシーバーなどの出力レベルの補正はAudyssey MultEQとAudyssey製マイクを使用することで実現されます。
パッケージシステム(アンプやスピーカーが一体化しているか同梱されているシステム)においては、開発時にラウドネス補正が行われます。 - 初めてのダイナミックなラウドネスコントロール
Audyssey Dynamic EQは音源をリアルタイムで解析し、ラウドネスカーブを
常に最適なものに更新することで、大きな音でもソフトな音でも常に適切に補正を行います。
これらの大きな進歩は、Tom Holmanの適切なラウドネスカーブの発見、信号処理技術の進歩、および今日のAudysseyによるラウドネス技術の研究が可能にしました。
他のラウドネス手法と違い
他にもラウドネス補正の手法がいろいろ提案されましたが、Audyssey Dynamic EQは、適切なラウドネス補正に必要な5つの重要な要素に取り組んだ最初の技術です。
他のラウドネス補正の手法は以下の理由により不十分なものでした。
- リスニングルームの音響特性の測定
他のラウドネスコントロールはリスニングルームの再生レベルを測定する手段を持ち合わせていません。Audyssey MultEQはまず再生レベルを測定し、適切なラウドネスカーブを作成するために情報をAudyssey Dynamic EQに提供します。 - 音場補正技術との組み合わせ
リスニングルームの音響特性の多様性は10dB程度か特定の周波数ではそれ以上になります。適切な音場補正が無くては、ラウドネス補正の効果はリスニングシートごとにより大きく異なります。 - 入力信号のリアルタイムな分析
映画や音楽素材は一般的な再生音量と比べるとはるかに大きなレベルであるリファレンスレベルでミキシングされます。リファレンスレベルでは大きな音は100dB SPL(音圧レベル)位になり、ソフトな音は50dB SPL位です。もしリスナーがボリュームを20dB下げて聞いているとすると、大きな音に対してはソフトな音より少ないラウドネス補正が必要になります。再生中は、正しい聴感特性を維持するために常にリアルタイムで分析を行う必要があります。

